第6章 愛着の発達
主体性に必要不可欠な愛着行動
初めてスクールに来るほとんどの子は、不安そうに思いながら母親にくっついてくるわけですが、ここには愛着行動があるということです。
愛着行動は、自律的な行動の柱になるということは、以前からもうすうす感じてはいたのですが、この章を読むことで確信に変わりました。
愛着行動の基本的な段階を3段階に分け、3歳で基本的な愛着行動は3段階目に突入します。
ここまで読んで個人的には
3歳で生涯、自律的に行動できるかが決まっちゃうの!?
と恐ろしく思ったのですが
その後の愛着経験も大切になるということなので安心しました。
簡単に説明すると
誰でもいいからとにかく愛着を示す⇒母親など、特に親しい人に愛着を示す⇒初めて会う人には不安感を覚える人見知り行動を示す
という3段階です。
スクールでは、3段階目に入ったときから子供たちと接するわけなので
まずは、養育者として認められ、愛着行動を示してもらえるまで、安心感を与えることが必要だと感じました。
愛着行動を行ってきたときに、適切に対応することで子供たちは安定感を得るとともに、自律的な行動を行えるようになります。
よく練習中にコーチに話しかけてきたりすることは、一種の愛着行動であり
確かにそこで
「練習中だからおしゃべりしてないで練習しなさい!」
というよりも
気の向くままに会話してから練習に参加していったほうが、集中して練習しているように感じます。
これは、安心感を覚え、自律的に行動したということだともいました。
愛着行動の重要性
一番面白いと思ったのは
保育園⇒小学校
という風に基本的に上がっていくわけですが
小学校での愛着行動の見せ方は
家庭環境の影響よりも
保育園での愛着行動の養育者による対応に大きく影響することが
とても面白いと思いました。
ルスデランパラサッカースクールでも、子供と接するうえでコーチとしての養育者というわけですから
愛着行動をしっかりと受け止めることでその後の子供たちの自律的な行動へと繋がってくということがわかります。
特に、ルスデランパラサッカースクールの環境は
社会人としての環境と似ている環境にあると思います。
一緒にサッカーを行うということで
共通のルールがあり、これを守らなければ楽しくサッカーが出来ません。
ここでコーチは、子供たちからの愛着行動をしっかりと受け止めて、自律的な行動へと促していくことが一つの役割だと感じました。
第7章 自己と感情の発達
自律性と恥や疑惑
幼児期には、自律性が生まれてくる一方で、恥や疑惑といった感情も経験します。
エリクソンの発達課題で、この両方をバランスよく経験することが大切であるという事ですが、例えば、トイレに幼児が一人で行くという自律性を示したときに、トイレが上手にできなかったということが起きたとします。
この時に、養育者としては重要な役割を担っていて、上手にできなかったときに恥ずかしいという感情が芽生えます。
恥ずかしいという感情は、自己意識によって現れる感情で、二次的感情に入るのですが、幼児期は自己意識が芽生えるため、恥や疑惑などの感情も芽生えます。
この時に、養育者がトイレを上手にできなかった幼児に対して叱ってしまったり、サポートしてあげないと、恥ずかしいという感情が強くなります。
自律性は、とても大切なことですが、自律性によってうまくできなかったときに養育者の援助が大切になります。
重要なのはどちらとも経験することですが、恥と疑惑の感情が強くなりすぎると、幼児の自律性が失われてしまいます。
自律性、自主性、主体性
自律性は、今まで母親や養育者に手伝ってもらったことが自分ひとりで行うようになることを指します。
自主性は、子供に興味が芽生え、様々なことに自ら進んで行動する事を指します。
この時に、独り言やごっこ遊びなど、様々なことを始めるのですが、養育者としては、子供の興味に対して、否定的に止めるようなことをすると、自主的な行動や他の事に興味を持つことをやめてしまいます。
自主的な行動を覚える子供は、社会的に問題な行動を起こしてしまう場合があります。この時に注意をされることで、罪悪感という感情が芽生えます。
罪悪感も二次的感情であり、自主性と罪悪感の両方をバランスよく経験することが大切になります。
この時に、ルールや禁止、罰などを与えすぎると自主性が損なわれてしまいます。
主体性は、子供が外部に働きかけるようになることを指します。
養育者が愛着行動をしっかりと受け止めている場合に主体性は行われるのですが、この時に、子供自らやろうとしていることを先回りして手助けすることで主体性を損なってしまう場合があります。
子供ができることとできないことを見極め、出来ることは見守り、出来ないことは援助するということが大切です。
自尊心を育むことがとても大切になってきます。
幼児期と児童期の特徴
幼児期の子供は、基本的に肯定的で、どんどんチャレンジしていきます。
他人と比較するのではなく、過去の自分よりも出来ていることを自覚していきます。
児童期になると、他者との比較によって自尊心が下がっていく傾向にあります。
ここで分かるのは、スクールにいる子に対して、他者と比べるのではなく、過去の自分と比較することで幼児期の頃のように自尊心を安定して育むことができるとわかります。
幼児期では、自己主張と自己抑制の両天秤をバランスよく育む必要があります。
自己主張を最初に始め、自己抑制が場合によっては必要となり、これらの事を経験します。
自己抑制の発達ポイント
自己抑制の発達は、養育者との関わりが大切になります。
説明的しつけにより、なぜこれをしてはいけないのかという、説明をしっかりすることで、自己抑制が育まれます。
また、自己抑制をすることを実行機能というのですが、実行機能には、抑制機能、切り替え、更新などがあります、
幼児期の実行機能を発達することは、その後の学力や社会性などに影響があることが報告されています。
幼児期や児童期は、実行機能の発達を促すことがコーチとしての一つの課題になりそうです。
抑制機能は、今はやるべきでないことをやらないということであり
切り替えは、今やっていることと違うことをやる時にスムーズに切り替えることであり
更新は、今覚えていることから違うことを覚えて上書きすることです。
子供達がルールを守ることや違うトレーニングをすること。
サッカーのプレー中に相手がどこにいて、味方がどこにいるのか、常に更新していくことなど、サッカーには実行機能を育む環境が備わっていますが、もっと他にも意図的に育めるような環境づくりを考えていきたいと思いました。
www.luzdelamparasoccerschoolblog.com